高松市12月定例議会での一般質問報告(要約)
2025年12月15日(月) 一般質問の項目
1.ものづくり産業支援について
2.大規模災害時における情報管理について
3.自殺対策の抜本的強化について
4.子どもの育ちを支援する学校図書館の更なる充実について
大項目 1:ものづくり産業支援について
高松市の持続的成長のため、支店経済都市からの脱却を図り、地域内での付加価値循環を確立する「稼ぐ力」の強化が必須である。そのため、「製造業のGX・DXによる高度化」を経済防衛策兼成長戦略と位置づけ、サプライチェーンの維持と高付加価値化を目指す。世界的な環境規制強化に伴い、取引先から迫られるScope3(サプライチェーン排出量)対応において、高松市の製造業が「環境対応ができるサプライチェーン」として競争優位を築くことを提案。特に、ノウハウ・資金不足を解消するため、CO2排出量の「見える化」支援パッケージを市が全額補助で行うことを求めた。また、歴史的な技術を持つ高松の木工・家具製造業は、年平均3.45%成長が見込まれるオフィス・コントラクト市場を最大の事業機会と捉えるべきだと指摘。競争優位を確立するため、補助対象を従来の設備投資からデザイン開発やブランディングなどの無形資産へ戦略的にシフトさせること、および東京・大阪での展示会出展などに加え、建築家やデザイナーを招く取組み等、成長市場への集中投資を強化するよう要求した。
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市長答弁 :
大企業と中小企業が一体となった脱炭素化支援として、CO2排出量の測定支援や設備投資支援を含む取り組みを拡大する。中小企業がGXへの動きに遅れることがないよう、企業価値や競争力の向上を図る効果的な施策を着実に進める。木工・家具製造業については、成長市場であるオフィス・コントラクト市場に向け、高付加価値化や販路拡大を支援する事業を活用し、製品開発や事業者のニーズ把握に努める。
大項目 2:大規模災害時における情報の管理について
大規模災害時の危機管理対応について、災害情報収集・分析、罹災証明発行の迅速化のため、情報の集約・統括体制の強化が課題。県と連携して運用する被災者支援システムは、根幹が県主体であるため、連携や運用上の課題への対策が必要である。また、能登半島地震等で効果を発揮した、保健・医療・福祉分野の連携を支える災害時保健医療福祉活動支援システム(D24H)情報共有ルールの標準化、平時からの操作訓練の実施、そして通信障害への備えとしてのネットワークの強靭化が課題となるため、これらの取り組みを進める方針を求めた。
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局長答弁 :
大規模災害時における情報統括体制を強化するため、総務局内に組織横断的な指揮命令権を有する危機管理監を設置した。被災者支援システムについては、平時から職員が操作訓練に参加し、災害時に効果的に活用できるよう備える。D24Hの活用に向けては、県や関係団体と連携し、災害対策本部における保健医療福祉調整部門として、円滑な運用に努める。
大項目 3:自殺対策の抜本的強化について
高松市が中核市62市の中で11番目に高い自殺死亡率(令和6年)を記録する深刻な現状を受け、対策の抜本的強化を要求。主要な課題である「孤立」と「健康問題」を抱える中高年男性(40~60代)や、複数の年齢層で死因第1位となっている子ども・若者を対象とした対策が必要である。具体的な強化策として、理美容師や金融機関職員など、生活接点を持つ人々を対象としたゲートキーパー養成の推進強化を提案。また、学校からの緊急要請に対し、精神科医等の専門家が迅速に介入する「子ども・若者の自殺危機対応チーム」(長野県モデル)のような多機関連携体制の構築を求めた。さらに、SNS相談の周知徹底と、市民が支援を求めやすくする「受援力」の強化を訴えた。
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局長答弁:
市民の「いのち」を守るための自殺対策として、中高年男性・孤立世帯への対策を強化するため、生活接点を持つ人々へのゲートキーパー養成を引き続き強化する。子ども・若者の対策としては、相談窓口の周知啓発を徹底し、関係機関との連携支援を推進し、迅速かつ効果的な支援に努める。また、市民の受援力向上のため、支援を受けることの重要性を啓発し、安心につながる支援を受け入れられるよう取り組む。
大項目 4:子どもの育ちを支援する学校図書館の更なる充実について
GIGA端末の普及が進む中で、探究活動拠点としての学校図書館の役割が劇的に増加していると指摘。現状の人的体制の弱さ(司書教諭の兼務、学校図書館指導員の不安定な雇用)が課題であるとした。学校図書館が「深い学び」の拠点となるよう、「高松市版・学校図書館活用スタンダード」(年間指導計画モデル)を作成し、教員の負担を軽減しつつ活用を推進することを提案。また、学校図書館指導員(学校司書)の専門性維持のため、組織的基盤の強化(公立図書館による支援センター機能など)を求め、さらに指導員を校務分掌に明確に位置づけ、授業研究に参加できるような組織的地位の明確化を通じて、活躍の場を広げるよう要求した。
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教育長答弁 :
太田南小学校の「図書室の中にある学校」の取り組みを、子どもたちの主体性を育み社会に開かれた学校づくりを進める上でのモデルとして評価。この取り組みを参考に、学校図書館活用スタンダードのモデルを作成・推進していく。学校図書館指導員については、専門性向上に向けた研修を引き続き実施し、「チーム学校」の一員として、校内で専門性を発揮し活躍できる場を広げるよう支援していく。