
高松市9月定例議会での一般質問報告(要約)
2025年9月17日(水) 一般質問の項目
1.空き地の利活用について
2.創造性あふれる子どもの育成について(芸術士派遣事業)
3.デジタルデバイド(格差)の解消について
4.男女共同参画の推進について
1.空き地の利活用について
- 質問概要:
近年、全国的に空き地が急増し、管理不全による問題(草木の繁茂、不法投棄、火災リスクなど)が深刻化している現状を指摘。国土交通省の「空き地の適正管理及び利活用に関するガイドライン」策定を受け、空き家対策と空き地対策の連携強化、利活用制度の推進、そして空き家・空き地を一体とする条例制定の必要性を問いかけました。
- 答弁概要:
(1)連携強化:
市は現在、「香川県空き家バンク」や「空き家等マッチング事業」等により空き家対策を進めており、今年4月策定の国のガイドラインも踏まえ、空き家・空き地対策の共通点に着目した統一的かつ効率的な対応の必要性を認識しています。今後、他市事例も参考にしながら、関係部署との連携を強化し、空き地対策や利活用制度の見直しを図ります。
(2)利活用制度:
管理上の課題や立地条件から利活用が困難な空き地が多いことを認識しつつ、そうした土地についても利活用に向けた検討や手続きの支援を推進します。また、「地域福利増進事業」を始め、多様な支援制度を創設しており、今後も国や地域の支援制度を活用し、利活用を促進していく考えです。
(3)条例制定:
目的や方針に基づき土地を適切に管理する必要性を認めつつ、現状では空き地管理に関する具体的な条例は定めていません。空き家対策と連動した効果的な空き地対策の検討を進めていく方針です。
2.創造性あふれる子どもの育成について
- 質問概要:
16年目を迎える「芸術士派遣事業」について、書籍出版や講演会での評価に触れつつ、事業が単なるアートイベント化し、本来の「感性や創造力を育む」という趣旨から乖離している可能性を指摘。過去の質問での市の回答に対する現状の課題(予算減額、派遣頻度低下)を挙げ、事業の5年間の検討過程とその評価、そして子どもの創造性を育む機会を充実させる「素材が集まるアート工房」や「アートとこどもたち国際研修センター」構想など更なる充実の考えを問いました。 - 答弁概要:
(1)5年間の検討過程とその評価:
「芸術士派遣事業」は、保育現場や芸術士との協議・調整を行いながら、事業の拡充に努めてきました。令和2年度に選定基準を見直し、今年度は希望する全ての施設へ派遣を拡大し、101施設まで拡大しています。本市の誇るべき独自事業であり、保護者からの好評価も得ており、今後も子どもたちの感性や創造力を豊かにする取り組みを進めます。
(2)創造性を育む機会の充実:
市は「高松市創造都市推進ビジョン」や「高松市文化芸術振興計画」に基づき、多様な文化芸術に触れる機会を提供しています。具体的には「芸術士と小中学生へのコンサート」、「学校巡回芸術教室」、高松市美術館の「こどもアートスペース」などを実施。子どもたちが身近な場所で創造的な活動に触れる機会を提供し、豊かな感性と創造性を育むため、今後も機会の充実に取り組む考えです。
3.デジタルデバイド(格差)の解消について
- 質問概要:
情報化社会における高齢者や障がい者のデジタルデバイド解消の重要性を強調し、国の施策や市の取り組みを評価しつつも、支援体制の持続可能性や孤立した層へのアプローチ、支援プログラムの高度化の課題を指摘。各地域で持続可能に取り組める体制構築、社会的に孤立している層への対策、より実効性のあるデジタルデバイド対策の推進について、市の考えを問いました。 - 答弁概要:
(1)持続可能な体制構築:
市は、デジタル技術の利用に不慣れな方々への「教える側」への移行支援を通じ、各地域で持続的に取り組める体制構築を目指しています。令和4年度から地域コミュニティを拠点としたデジタル活用支援に取り組んでおり、今後も地域の実情に応じた活動を支援し、他市事例も参考にしながら、地域で連携しデジタルデバイド対策に取り組める体制を構築します。
(2)社会的に孤立している層への対策:
社会的に孤立している方々への対策については、地域社会とのつながりが薄い現状を認識しています。今後は、ケアマネージャーや福祉施設など、多様な主体間の連携強化を図り、デジタル技術の利便性を享受できるよう、効果的な情報提供の手法等を検討します。
(3)実効性のある対策:
デジタルデバイド対策として、地域活動でのデジタル技術活用やスマートフォン教室の実施により、デジタルに不慣れな方々への利用機会創出を図っています。今後は、デジタルから疎遠な住民への支援も必要であり、地域コミュニティ協議会を通じてデジタル活用の便利さを実感できるような具体的な施策を推進していく考えです。
4.男女共同参画事業の推進について
- 質問概要:
「男女共同参画センター」の呼称や対象について市民からの意見を挙げ、少子高齢化、多様な働き方、性的マイノリティ、外国籍市民など、現代社会の多様なニーズに対応しきれていない現状を指摘。改正女性活躍推進法にも触れ、従来の「男女共同参画」概念を「ダイバーシティ&インクルージョン」へと更新する必要性を問いかけ、香川県男女共同参画センター(仮称)との連携、ライフプラン全般にわたる支援、そして概念更新の考えを問いました。 - 答弁概要:
(1)香川県男女共同参画センター(仮称)との連携:
市は、昨年10月に市の男女共同参画センター等の設置・運営に関するガイドラインを策定しました。香川県においても類似機関が開設予定であり、市としては、都道府県全体での連携の在り方や、市町村では対応が困難な相談対応を行う等、県との役割分担を理解し、連携体制を強化することで、きめ細やかで効率的な施策推進を目指します。
(2)ライフプラン全般にわたる支援:
令和5年度に次期男女共同参画プラン策定に向けた調査等を行い、女性の就業率向上や社会参画の変化、キャリア形成やライフプランに直面する課題、新たな支援ニーズの増加を把握しています。今後は、多様な支援ニーズを的確に捉え、ライフプラン全般にわたる支援を強化していく考えです。
(3)「男女共同参画」から「ダイバーシティ&インクルージョン」への更新:
「たかまつ男女共同参画社会基本法」において、男女共同参画をテーマとし、多様性を考慮した都市計画について議論されました。市は「ダイバーシティ&インクルージョン」推進が重要な取り組みであると認識しており、次期プランにおいても名称は維持しつつ、内容には「ダイバーシティ・アンド・インクルージョン」の視点を取り入れ、多様な属性を持つ市民の包摂に配慮した施策推進を検討していきます。